大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

和歌山地方裁判所御坊支部 事件番号不詳 判決

主文

被告人山中貞二を懲役五月及び罰金二万五千円に、被告人浜崎正之を懲役三月及び罰金一万二千円に、被告人栄森秀を懲役二月及び罰金五千円に、被告人島崎福次、浜崎正義を各罰金五千円に被告人加藤三郎を罰金三千円に処する。

右罰金を完納することが出来ない場合は被告人山中貞二については金二百五十円を被告人浜崎正之については金百五十円を、被告人栄森秀、島崎福次、浜崎正義、加藤三郎については金百円を各一日に換算した期間被告人等を労役場に留置する。

被告人山中貞二、浜崎正之、栄森秀に対しては本裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

押収に係る真鍮屑(薬莢屑)千七百貫、進駐軍ボロ作業着上百七十八着下百二十九着、鉛屑三十貫、型鉛三個、海図五枚、米国製紙巻煙草八百本(証八号二十六包の中五号)は何れもこれを没収する。

訴訟費用中証人中島春千代、安田サヲに支給したる部分は被告人浜崎正之の、弁護人松山虎蔵に支給したる部分は被告人島崎福次、加藤三郎の負担とする。

理由

第一、被告人山中貞二、浜崎正之、栄森秀、島崎福次、浜崎正義は〓山某、浜本某と共謀の上所定の免許を受けないで昭和二十五年七月三十一日頃北部南西諸島奄美大島深浦よりさきに被告人山中貞二が右〓山某より大阪渡噸当り六万五千円で買受けた薬莢屑六噸〇二五瓩(千七百貫)、大阪市に於ける時価相場により同様買受けた鉛屑約三十貫、右〓山某より大阪市において売却方委託せられた進駐軍用古衣類(上下合計三百七点)及び同人より見本として交付せられた型鉛三個を第三朝日丸に積載し右被告人正之、森秀、福次、正義はこれが運航にあたり右貨物を密かに大阪港に陸揚げするため同年八月五日頃和歌山県海草郡加太友ヶ島附近まで輸送し以つて貨物の輸入を図り

第二、被告人加藤三郎は所定の免許を受けないで昭和二十五年七月三十一日頃北部南西諸島奄美大島深浦より米国製煙草四カートン(八百本)を第一記載の第三朝日丸に積載携帯の上大阪港に陸揚するため同年八月五日頃和歌山海草郡加太友ヶ島附近まで輸送し以つて貨物の輸入を図り

第三、被告人栄森秀は北緯三十度以南の北部南西諸島奄美大島に本籍を有するものであるが連合国最高司令官の承認を受けないで昭和二十五年七月三十一日頃同島深浦より第一記載の第三朝日丸に乗船し同年八月五日頃和歌山県海草郡加太友ヶ島附近まで渡航し

たものである。

(証拠説明省略)

法律に照らすと被告人山中貞二、浜崎正之の判示第一の所為は関税法第三十一条第百四条第七十六条第一項第二項刑法第六十条に、被告人島崎福次、浜崎正義の判示第一の所為は関税法第三十一条第百四条第七十六条第一項(罰金刑を選択)刑法第六十条に、被告人加藤三郎の判示第二の所為は関税法第三十一条第百四条第七十六条第一項(罰金刑を選択)に、被告人栄森秀の判示第一の所為は関税法第三十一条第百四条第七十六条第一項第二項、刑法第六十条に、判示第三の所為は、昭和二十五年政令第二百二十七号第一条第二条に各該当するところ被告人栄森秀の右判示第一第三の罰は刑法第四十五条前段の併合罪であるから(判示第三の政令第二二七号違反について懲役刑を選択)同法第四十七条第十条により最も重き関税法第七十六条第一項第二項の罪の刑に法定の加重をなし主文の通り被告人山中貞二、浜崎正之、栄森秀を各懲役及び罰金に、被告人島崎福次、浜崎正義、加藤三郎を各罰金に処し、換刑処分については刑法第十八条、懲役刑の執行猶予については同法第二十五条、没収については関税法第八十三条第一項(第三朝日丸は判示第一の犯罪行為の用に供したる船舶であるが被告人浜崎正之証人安田サヲ、中島春千代の当公廷における各供述を綜合すれば右第三朝日丸の船長である被告人浜崎正之は該船舶の適法たる所有者又は占有者であると認め難いから右第三朝日丸はこれを没収しない)訴訟費用については刑事訴訟法第百八十一条第一項を各適用し主文のように判決する。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!